
1: :2011/06/27(月) 12:09:32.44 ID:
アニス「ほらほら、ちゃんとお風呂に入ってね」
フローリアン「うん、アニスが洗ってくれる?」
アニス「え?うーん、まあいいけどぉ」
フローリアン「ありがとう!」
アニス「はいはいっておおぉ??!こんなとこで裸になるなぁぁ!!」
フローリアン「でも服を着たままだとお風呂に入れないよ?」
アニス「ちゃんと脱衣所で脱いで!」
フローリアン「うん。わかった」
アニス「はあ……」
3:
:2011/06/27(月) 12:13:54.49 ID:
アニス「ちゃんと頭を洗ってね」
フローリアン「うぅ……」
アニス(こうしてイオン様とお風呂なんて入ったことなかったなぁ……)
フローリアン「アニス?」
アニス「え?なに?」
フローリアン「アニスのお○ぱい、小さいね」
アニス「……どこみてんのよぉぉ!!!」
フローリアン「え?見ちゃ駄目なの?」
アニス「乙女の柔肌をタダで見るなんて、そんなの普通はできないんだからね!!」
フローリアン「そうなの?」
アニス「そうです!」
4:
:2011/06/27(月) 12:17:33.10 ID:
寝室
アニス「もう寝るよー?」
フローリアン「アニス、一緒に寝てくれる?」
アニス「う、うん、別にいいけどぉ……」
フローリアン「ぼくね、アニスのことが大好きなんだ」
アニス「……そう」
フローリアン「アニスは、ぼくのこと好き?」
アニス「……うん。好きだよ」
フローリアン「ふふ、嬉しいな」
アニス「……」
フローリアン「アニス……大好き……」
5:
:2011/06/27(月) 12:20:07.12 ID:
なんという切なくなるスレ
支援
6:
:2011/06/27(月) 12:20:38.52 ID:
翌日
フローリアン「アニス、行っちゃうの?」
アニス「ごめんね。まだやることがあるから」
ルーク「悪いな」
ティア「また遊びに来るわ」
ミュウ「ですの!」
フローリアン「やくそく、やくそくだよ、アニス」
アニス「うん」
ガイ「じゃあ、行くか」
ナタリア「そうですわね」
ジェイド「ほら、アニス。行きますよ」
アニス「はーい。……イオンさま……」
7:
:2011/06/27(月) 12:23:51.61 ID:
アニス「……はぁ……」
ルーク「アニス、元気ねえな」
ガイ「フローリアンに会うたびに落ち込んでるな」
ティア「心配だわ」
ミュウ「ですの……」
ジェイド「……ふむ。アニスが気を落とすのも無理はないでしょう」
ナタリア「何か知っていますの?」
ジェイド「……いえ。これは言うべきではないでしょう」
ルーク「なんだよ、気になんだろ」
ティア「……」
ガイ「ま、無理に詮索することもないだろ」
ナタリア「そうですわね」
アニス「……」
8:
:2011/06/27(月) 12:26:57.67 ID:
夜 街のベンチ
アニス「……」
ルーク「アニス」
アニス「あ、ルーク」
ルーク「隣、いいか?」
アニス「うん」
ルーク「アニス、どうしたんだ?」
アニス「にゃにが?」
ルーク「だってお前、フローリアンに会うたびにそうやって暗くなってるだろ?」
アニス「そうかにぇ?アニスちゃんはいつでも元気だよー?」
ルーク「アニス……」
アニス「……ごめん、ルーク。やっぱり、一人にして」
ルーク「……分かった」
9:
:2011/06/27(月) 12:29:10.66 ID:
アニス「イオン様は死んだ。なのに……どうして……」
ジェイド「いっそのことフローリアンなんていないほうがいい、そう思っているんですね?」
アニス「……大佐」
ジェイド「無理もありませんね。アニスとって導師イオンという存在の大きさは測り知れません」
アニス「……」
ジェイド「そんな彼が死んでしまい、今この世にいるのは外見が同じだけの別人です」
アニス「……」
ジェイド「会うたびに思い出さずにはいられない。導師との日々を……」
アニス「大佐、やめてもらいますか?他人の心を覗くのは」
ジェイド「私はただ推測を述べたに過ぎません」
アニス「……大佐なんて嫌いです」
11:
:2011/06/27(月) 12:32:48.46 ID:
ジェイド「……アニス。貴方は気づいているのですか?」
アニス「……何にです?」
ジェイド「フローリアンのことです」
アニス「……薄々は」
ジェイド「そうですか。どうでしょう、ここは一つアニスはダアトに残ってフローリアンと遊び倒すというのは?」
アニス「なんでそんなことをしなきゃいけないんですか。私たちには目的が……」
ジェイド「迷惑なのですよ」
アニス「……!?」
ジェイド「アニスのような浮ついた状態で同行されても私たちが危険に晒されるだけですからね」
アニス「はっきり言いますね」
ジェイド「でないと、大佐は務まりませんからね」
14:
:2011/06/27(月) 12:36:10.76 ID:
アニス「わかりました。じゃあ、一週間だけ時間をください」
ジェイド「……それが限界ですか?」
アニス「はい」
ジェイド「そうですか。意外と短いですねぇ」
アニス「まあしょうがないですよぉ」
ジェイド「そうですねぇ。では、一週間後に迎えに来ますから」
アニス「は~い、ちゃんと来てくださいよ?た、い、さ~」
ジェイド「はっはっはっ、そうお願いされては来たくありませんねぇ」
アニス「あ、ひっど~い」
16:
:2011/06/27(月) 12:39:22.64 ID:
翌日
ルーク「じゃあ、アニス」
アニス「うん。お土産、期待してるからね~」
ルーク「分かったよ」
ガイ「じゃあ、行ってくる」
ナタリア「それでは」
ティア「またね、アニス」
ジェイド「……それではアニス、フローリアンによろしく」
アニス「はーい、わかってますよぉ」
ルーク「よし、行くか」
ジェイド「はい」
ティア「……」
17:
:2011/06/27(月) 12:42:46.36 ID:
イオンの自室
フローリアン「あ。アニス!」
アニス「やっほ」
フローリアン「どうしたの?また遊びに来てくれたの?!」
アニス「うん、しかもしばらく一緒に居てあげる」
フローリアン「ホントに!?やった、アニスとずっと一緒にいられる……」
アニス「ずっとは無理だけどねぇ」
フローリアン「そうなの?」
アニス「うん」
フローリアン「……でも。今は居てくれる。ぼくはそれだけでいいよ、アニス?」
アニス「……そっか」
18:
:2011/06/27(月) 12:46:26.85 ID:
月夜ばかりと思うなよ
19:
:2011/06/27(月) 12:46:56.28 ID:
フローリアン「アニス、何して遊ぶ?」
アニス「何がいい?私は何でもいいけど?」
フローリアン「じゃあね、かくれんぼ」
アニス「それは駄目だって。この前、怒られたばかりでしょ?」
フローリアン「あ、そっか」
アニス「もう。じゃあ、絵本読んであげる」
フローリアン「やったぁ!」
アニス「どんな本がいい?」
フローリアン「アニスの声が聞けるなら、なんでもいいよ?」
アニス「……え?う、うん」
22:
:2011/06/27(月) 12:50:26.69 ID:
アニス「じゃあ、読むね?」
フローリアン「アニス、手を握って?」
アニス「いいけど」
フローリアン「ふふ、暖かい」
アニス「もう……読むよ?」
フローリアン「うん」
アニス「……昔、昔あるところに一人の不幸な男がいました」
アニス「その男は一日で全てを失ってしまいました」
アニス「お金も家も友人も恋人も家族も全てです」
アニス「その男の全てを奪ったのは全く同じ姿をした男でした……」
23:
:2011/06/27(月) 12:55:12.36 ID:
劣化レプリカさんか
24:
:2011/06/27(月) 12:58:20.25 ID:
アニス「……めでたし、めでたし」
フローリアン「……すー……」
アニス「あ、寝てる。せっかく読んであげたのに……」
アニス「……イオン様……」
フローリアン「アニス……大好き……すー……すー……」
アニス「……はあ……私、こんなときにこんなところで何をやっているんだろ……」
アニス「……さてと、ご飯の準備でもしますか」
フローリアン「すー……」
アニス「そういえば好きな食べ物とか聞いたことなったけど、何でも食べるのかな?」
25:
:2011/06/27(月) 13:04:06.84 ID:
夕食
フローリアン「美味しい!」
アニス「ホント?」
フローリアン「うん!アニスは何でもできるんだね!」
アニス「ま、まあね」
フローリアン「これも美味しいよ!はむはむ……」
アニス「ちょっと、慌てて食べたら……!」
フローリアン「う……!?んーんー……!!」
アニス「ほら言わんこっちゃない!お水飲んで!」
フローリアン「……(ごくごく」
アニス「大丈夫?」
フローリアン「ぷはっ……ごめんね、アニス」
アニス「いいから良く噛んで食べてよ」
フローリアン「うん」
26:
:2011/06/27(月) 13:07:57.01 ID:
フローリアン「……あ」
……カチャン……
アニス「あ、フォーク落とした?」
フローリアン「ごめんね」
アニス「もう、はいこれ。私のだけど」
フローリアン「ありがとう!」
アニス「もう」
フローリアン「はむはむ」
アニス(……イオン様じゃない。イオン様じゃないんだ……)
フローリアン「……アニス?」
アニス「……ほら、早く食べて。洗い物しなきゃいけないんだから」
27:
:2011/06/27(月) 13:12:15.94 ID:
風呂
アニス「じゃあ、30まで数えたら出るよ?」
フローリアン「うん……」
アニス「どうしたの?」
フローリアン「初めはなんていうんだっけ?」
アニス「はぇ?『いち』だけど?」
フローリアン「あ、そっか。いーち……次は?」
アニス「……私が数えたげる」
フローリアン「ありがとう、アニス」
アニス(数も数えられないのかぁ……)
28:
:2011/06/27(月) 13:16:47.57 ID:
寝室
フローリアン「おやすみ、アニス」
アニス「ちょっと、あんまりくっつくと熱いから」
フローリアン「アニスは嫌なの?」
アニス「嫌っていうか、そのあついからね……」
フローリアン「……ぐす、わかった……」
アニス「ちょっと、泣かないでよ!!」
フローリアン「じゃあ、このままでもいい?」
アニス「はあ、この顔には敵わないなぁ……いいよ」
フローリアン「アニス大好き!!」
アニス「……」
29:
:2011/06/27(月) 13:19:27.43 ID:
昼食
フローリアン「今日のごはんは?」
アニス「はーい、アニスちゃん特製のカレーライスですよぉ!」
フローリアン「わーい!」
アニス「おかわりもあるからね。でも、一気に食べないで、良く噛んで食べること。いい?」
フローリアン「うん!いただきまーす。はむはむ……」
アニス「はい、いただきます」
フローリアン「…………?」
アニス「ん?どうしたの?」
フローリアン「ううん。何でもないよ」
アニス「そう?」
フローリアン「アニスのカレー、おいしいね」
アニス「ありがと」
30:
:2011/06/27(月) 13:23:43.21 ID:
翌日
アニス「ほら、フローリアン。起きて!!」
フローリアン「すー……」
アニス「駄目だ、ぜんっぜん起きない。昨日もいっぱい寝てたのに……」
アニス「まあ、いいか。先に掃除と洗濯しちゃおっと」
フローリアン「すー……すー……」
アニス「……それともこれって……」
アニス「気にしてもしょうがないよねぇ。さ、掃除掃除!」
フローリアン「……あにすぅ……」
31:
:2011/06/27(月) 13:27:33.25 ID:
正午
アニス「今日は散歩でもしましょうか」
フローリアン「うん!」
アニス「買い物もあるしねぇ。じゃあ、行くよ」
フローリアン「何買うの?」
アニス「乙女には色々と必要な物があるの」
フローリアン「ぼくもアニスに何か買ってあげたいな」
アニス「お金、持ってないでしょ?」
フローリアン「おかね?おかねってなに?」
アニス「もう……」
32:
:2011/06/27(月) 13:30:56.50 ID:
街
フローリアン「へえ、この丸いので買うんだ」
アニス「とりあえず500ガルドあげるから、それで交換できるものを選ぶんだよ?」
フローリアン「うん、わかった」
アニス「さーてと、まずは薬局に行かなきゃ……」
フローリアン「~♪」
アニス「どうしたの?硬貨をずっとみてるけど」
フローリアン「だって、初めてアニスにもらったものだから嬉しくて」
アニス「あ、そう……」
33:
:2011/06/27(月) 13:34:17.63 ID:
アニス「さてと、もうこれで全部かな?」
フローリアン「……」
アニス「どうしたの?」
フローリアン「え?ごめん、アニス。やっぱりアニスから貰ったものを別のものに交換するなんてできないよ」
アニス「フローリアン……」
フローリアン「ごめんね、アニス?」
アニス「もうーいーよ。じゃあお金はもっとくの?」
フローリアン「いい?」
アニス「ま、いいけど」
フローリアン「ありがとう」
34:
:2011/06/27(月) 13:39:00.93 ID:
イオンの部屋
アニス「疲れたー」
フローリアン「そうだね。でも、ぼくはアニスとお出かけできて嬉しかったよ?」
アニス「……うん、私も」
フローリアン「ねえ、アニス。今度はすこしだけ遠くに行きたいな」
アニス「どこ?」
フローリアン「近くに花がいっぱい咲いてるところがあるんだ」
アニス「へえ」
フローリアン「でね、そこの花は一年に一度だけ花びらが飛んで行くんだよ。それがすごくきれいなんだって」
アニス「ふーん。ま、いいけど。それいつなの?」
フローリアン「え?」
アニス「いつになるか分からないと、行っても見れないよ?」
フローリアン「あ、そっか」
アニス「ほんとにもう……」
36:
:2011/06/27(月) 13:43:25.70 ID:
図書館
アニス「花……花……」
神官「アニス、どうかしたのか?」
アニス「あ、なんかこの辺で一年に一度だけ花びらを飛ばす花が咲いているところがあるって聞いたんですけど、知りません?」
神官「ああ、クロソフィか」
アニス「クロソフィ?」
神官「ここから少し北にいったところに花畑があるよ。そこに独りで栽培している娘さんがいるんだ」
アニス「へえ。その現象っていつ見れるんですか?」
神官「時期的にいえば、半年後ぐらいじゃないかな?
アニス「今すぐにはみれないんですねぇ」
神官「そうだな」
アニス「そっか。ざーんねん」
39:
:2011/06/27(月) 13:51:15.26 ID:
イオンの部屋
フローリアン「アニスー、このお皿はどうするー?」
アニス「とりあえずテーブルにならべてー」
フローリアン「うん……あ」
ガシャン!!
アニス「あ!!」
フローリアン「あ、あ、ご、ごめんなさい……」
アニス「触れちゃ駄目!!」
フローリアン「え?」
アニス「怪我しちゃうから。ほら、ここは私がするから、フローリアンは座ってて」
フローリアン「う、うん……ごめんね、アニス」
アニス「いーから」
40:
:2011/06/27(月) 13:56:58.50 ID:
夕食
フローリアン「……」
アニス「フローリアン?おいしくない?」
フローリアン「え?ううん、そんなことないよ!アニスのごはんはおいしいよ」
アニス「そ、そう?」
フローリアン「……ごめんね、アニス?」
アニス「何が?」
フローリアン「だって、アニスにずっと迷惑ばかりかけてるから……」
アニス「もう、そんなの気にしなくてーの」
フローリアン「でも……」
アニス「フローリアン、私はね、少しだけ貴方が憎い」
フローリアン「え?」
アニス「だって、私の大好きだった人と同じ顔なんだもん」
フローリアン「それって、イオンって人?」
41:
:2011/06/27(月) 13:59:38.57 ID:
アニス「でもね、そんな自分はもっと嫌いなんだ」
フローリアン「?」
アニス「フローリアンをイオン様として見ちゃう自分が死ぬほど嫌い」
フローリアン「アニス……」
アニス「好きだっていってくれるのはもうフローリアンだけなのにね」
フローリアン「アニス、そんなことないよ」
アニス「あるよ。もう、私にはフローリアンしかいない。なのに、そんな貴方が憎いだなんて、笑っちゃうよね?」
フローリアン「それでもぼくは、アニスが大好きだから」
アニス「……ありがと」
42:
:2011/06/27(月) 14:03:26.29 ID:
フローリアン「ごちそうさま」
アニス「おそまつさまでした。じゃあ、洗い物したらお風呂にいくよ」
フローリアン「うん」
アニス「あ、そーだ。フローリアン」
フローリアン「なに?」
アニス「フローリアンが言ってた花のことなんだけど、すぐには見れないって」
フローリアン「そうなの?」
アニス「うん」
フローリアン「そっか。でも、アニスと見に行きたいな」
アニス「そうだね。今度、見に行こうか」
フローリアン「わーい」
43:
:2011/06/27(月) 14:07:27.23 ID:
アニス「じゃあ、お風呂に行くよ?」
フローリアン「うん……」
アニス「ほらほら、一緒に行こう」
フローリアン「アニス、手を握ってくれない?」
アニス「え?いいけど?」
フローリアン「ごめんね?」
アニス「いちいち謝らない。フローリアンが甘えん坊なのは知ってるから」
フローリアン「そっか」
アニス「はい、じゃあ手を握っていこ」
ギュ……
アニス「……!?」
フローリアン「どうしたの?」
アニス「え?ううん、なんでもない……」
44:
:2011/06/27(月) 14:11:47.93 ID:
アニス「はい。じゃあ数を数えるよ?」
フローリアン「うん。今度はぼくが数えるから」
アニス「お?勉強した?」
フローリアン「うん!」
アニス「じゃあ、一緒にかぞえよっか」
フローリアン「うん」
アニス「いーち、にー、さーん……」
フローリアン「いーち、にー、さーん……」
アニス(さっきのあれは……やっぱり……)
アニス(どうしよう……)
フローリアン「あれ、じゅうの次ってなんだっけ?」
アニス「じゅういち」
フローリアン「あ、そうだ。じゅーいち、じゅーに、じゅーさん……」
アニス「……」
46:
:2011/06/27(月) 14:19:59.09 ID:
寝室
フローリアン「アニス、手を握って」
アニス「また?」
フローリアン「ごめんね?」
アニス「だから、別に謝らなくてもいいから」
フローリアン「アニスは優しいね」
アニス「……。ま、別にこれぐらいで怒ったりはしないけど」
フローリアン「ありがとう、アニス……」
アニス「うん」
フローリアン「……」
アニス「じゃ、電気消すよ」
フローリアン「え?あ、うん」
アニス「おやすみ」
47:
:2011/06/27(月) 14:22:23.36 ID:
翌日
アニス「フローリアン、起きて。朝だよー」
フローリアン「すー……すー……」
アニス「また起きない……」
アニス「まあ、静かでいいけど」
アニス「今日はなにしようかなぁ……」
アニス「あ、そーだ、手紙でも書いとこうかな?」
アニス「えーと、紙、紙っと……」
フローリアン「ん……あれ……アニス?」
フローリアン「アニスが隣にいない……」
フローリアン「アニス?アニス?」
48:
:2011/06/27(月) 14:27:15.12 ID:
イオンの部屋
アニス「あ、あった。ペンはこれで……」
バタン!!
アニス「え?なに、今の音……?」
アニス「寝室からだよね……?フローリアン?!」
アニス「フローリアン、どうしたの?!」
フローリアン「いたたた……」
アニス「もう、なにがあったの?」
フローリアン「ご、ごめんね。ベッドから落ちたみたい……」
アニス「みたいって……」
フローリアン「えへへ……」
アニス「ほら、手に掴まって」
フローリアン「う、うん……」
スッ……
アニス「え?」
50:
:2011/06/27(月) 14:32:56.18 ID:
フローリアン「あ、あれ?」
スッ……
アニス「……フローリアン?」
フローリアン「おかしいね、アニスはここにいるはずなのに……」
アニス「フローリアン、これ、なにか分かる?」
フローリアン「え?えーと……トクナガ?」
アニス「……タンスだよ……」
フローリアン「あ、そっか。ごめんね、アニ……」
アニス「いつから?」
フローリアン「え?」
アニス「いつから、目が見えなくなったの?起きたとき?それとも……」
フローリアン「ごめんね……」
アニス「謝らなくていいから、いつから?」
フローリアン「昨日のごはんからぼんやりとしてきて、おふろにいくときにはアニスのりんかくしか見えなくて……」
アニス「……」
51:
:2011/06/27(月) 14:38:16.39 ID:
フローリアン「寝るときにはもう、真っ暗で……」
アニス「ねえ、フローリアン、私の手、ここにあるよ?握って?」
フローリアン「うん……」
ギュ……
アニス「……」
フローリアン「あったかいね、アニスの手……」
アニス「それ、トクナガの手なんだけど」
フローリアン「……!?」
アニス「そっか。薄々感じてたけど、感覚も無くなってるでしょ?」
フローリアン「……」
アニス「昨日、握り返されたときすごい力だったし、握ってる感触がないから加減ができないんでしょ?」
フローリアン「……うん」
アニス「味も分からなくなってるんじゃない?」
フローリアン「ごめんね、アニス……でも、アニスのごはんは美味しいから。それは覚えてるから……」
アニス「……フローリアン」
52:
:2011/06/27(月) 14:42:38.48 ID:
船内
ジェイド「導師イオンのレプリカは悉く失敗作でした。何かしらの欠陥があったようです」
ルーク「じゃあ、フローリアンもか?」
ジェイド「フローリアンは失敗作の中でも一際酷かったようです。その生命機能すらも著しく劣化しています」
ティア「じゃあ、フローリアンは……もう……」
ジェイド「まあ、音素を引きつけることには長けていたようですが、それでは何の役にも立ちませんからね」
ナタリア「じゃあ、アニスはそのことを……」
ガイ「そういうことか……」
ジェイド「ま、いいじゃないですか。アニスもフローリアンも最後の一週間を満喫するでしょうし」
ルーク「なんで、黙ってた……」
ジェイド「……言ったところで、私たちは立ち止まるわけにはいきませんからね」
ルーク「なんだよ、それ……」
ティア「ルーク……」
ジェイド「ルーク、どうしたのですか?」
ルーク「アニスはきっと辛いはずだ。戻るぞ」
53:
:2011/06/27(月) 14:47:14.41 ID:
ナタリア「ルーク……」
ジェイド「何を甘いことを言っているのですか?」
ルーク「あいつは今一人で自分の過去と現実に向き合ってる。せめて俺たちが傍に居てやらないとダメだろ?!」
ミュウ「ご主人様……」
ジェイド「貴方は何を言い出すのです。私たちは世界の命運を背負っていることをお忘れですか?」
ルーク「それでも……!!」
ジェイド「これだから温室育ちはいけませんねぇ。いいですか。たかが出来そこないのレプリカを看取る暇があれば、すこしでもヴァンの野望をですね……」
ルーク「……てめえ!!!」
ガイ「ルーク!!」
55:
:2011/06/27(月) 14:51:50.69 ID:
ジェイド「……痛いですねぇ。正論を並べられたら暴力ですか。貴方はやはり何も変わっていませんね」
ルーク「取り消せよ!!!この世に生まれて、出来そこないの奴なんていない!!!」
ティア「ルーク……」
ルーク「レプリカでもこの世界に生まれたんだぞ?!それをお前は出来そこないだからって見捨てるっていうのかよ!!」
ジェイド「……その通りです。全人類とたった一人の劣化レプリカ。天秤で量るまでもないでしょう」
ルーク「この野郎!!!」
ナタリア「落ち着きなさい、ルーク!!」
ガイ「ジェイド、それ以上は言うな。ルークだって分かってる」
ジェイド「……」
ルーク「くそ!!なんだよ!!出来そこないなんているか!!生まれたらみんな平等だろうが!!」
ティア「ルーク、落ち着いて!」
56:
:2011/06/27(月) 14:56:47.16 ID:
ジェイド「……」
ガイ「どうしてあんなことを言った?」
ジェイド「さあ、なんででしょうね?」
ガイ「あんな言い方したらルークじゃなくても怒るぞ」
ジェイド「ガイも怒りました?」
ガイ「少しだけな。でも、ルークよりは怒れなかったよ」
ジェイド「……我々には看取る暇さえないのです」
ガイ「ジェイド……」
ジェイド「そんな暇を与えてくる相手ではありませんからね」
ガイ「……悪いな。憎まれ役はお前の十八番だろうけど」
ジェイド「左頬が痛くて敵いませんよ、全く。でも、ルークにあんな怒り方もできると知ることができて良かったです」
ガイ「そうか」
57:
:2011/06/27(月) 15:01:20.31 ID:
翌日 寝室
アニス「フローリアン、何か食べる?」
フローリアン「ううん。それより、アニス。ずっとそばに居て」
アニス「うん」
フローリアン「もうアニスの温かさも分からなくなってきちゃったよ」
アニス「フローリアン……」
フローリアン「おかしいね。でも、アニスが傍にいるだけで心は温かくなるよ?」
アニス「……私も……」
フローリアン「うれしいなぁ……」
アニス「……」
58:
:2011/06/27(月) 15:05:37.43 ID:
夜
アニス「フローリアン、寒くない?」
フローリアン「……アニス?」
アニス「なに?」
フローリアン「ねえ、アニス……傍にいる?」
アニス「いるよ」
フローリアン「アニス?どこ?」
アニス「……フローリアン、もう耳まで……?」
フローリアン「アニス……いるよね?傍にいるよね?」
アニス「……ん」
フローリアン「……っ」
アニス「……いるよ」
フローリアン「……アニスが近くにいる……うれしい……」
アニス「……あーあ、ファーストキスはフローリアンとかぁ……まあ、いいけど」
59:
:2011/06/27(月) 15:10:43.22 ID:
翌日
アニス「……よし」
フローリアン「アニス?」
アニス「聞こえる?」
フローリアン「……うん。聞こえるよ、アニス!」
アニス「知り合いに頼んで骨伝導補聴機ってやつを作ってもらったから」
フローリアン「すごい!すごいよ、アニス!」
アニス「うんうん。あ、そうだ。明日は行くからね」
フローリアン「どこに?」
アニス「花畑」
フローリアン「ホント?」
アニス「ホントだよ」
フローリアン「やったぁ。たのしみだなぁ……」
アニス(ありがと、ディスト……)
60:
:2011/06/27(月) 15:18:03.98 ID:
ルーク「アニスのところに戻るぞ」
ティア「ルーク、その話は……」
ジェイド「まだいいますか」
ルーク「一日だけでいい。頼む!」
ナタリア「ルーク……!」
ジェイド「おやおや。土下座なんて処世術をどこで学んだんですか?」
ルーク「アニスはきっと怯えてると思う。だから……!!」
ガイ「いいんじゃないか?」
ジェイド「……」
ガイ「一日ぐらいならよ」
ジェイド「……あ、そういえばダアトでの買い物がありましたね~。しかたありません、戻りましょうか」
ルーク「ジェイド……!!」
ナタリア「ふふ、素直じゃありませんのね」
61:
:2011/06/27(月) 15:23:10.15 ID:
翌日
アニス「大丈夫ですか?」
フローリアン「うん。大丈夫だよ、霞んでるけどちゃんと見えてるから」
アニス(ディストの奴、無理して視力装置まで……)
アニス「でも、車椅子には座ってもらいますよ」
フローリアン「ごめんね、アニス」
アニス「もういいですから。じゃあ、いきますよ」
フローリアン「……うん」
アニス「しゅっぱーつ!!」
62:
:2011/06/27(月) 15:26:58.12 ID:
アニス「でも、たのしみだよね。結構有名な花畑みたいだったから」
フローリアン「そう……なん、だ……」
アニス「どうしたの?眠いの?」
フローリアン「う、ん……ごめんね……」
アニス「まあ、少し時間がかかるし、いーけどぉ」
フローリアン「すー……すー……」
アニス「ありゃ、もうねちゃった」
アニス「ま、いいか。起こさないようにゆっくりいきますかぁ」
フローリアン「……すー…………」
64:
:2011/06/27(月) 15:33:49.61 ID:
クロソフィの花畑
アニス「あ、こんにちはー」
女性「はい?」
アニス「あの、事前に連絡してたんですけどぉ」
女性「ああ、うん、聞いてるよ?クロソフィ、みたいんだよね?」
アニス「はい」
女性「そっちの人は?」
アニス「え、ああ、ちょっと寝ちゃってて」
女性「……そうなんだ。じゃあ、こっちだよ」
アニス「どーも、すいませんねー」
フローリアン「…………」
65:
:2011/06/27(月) 15:38:31.73 ID:
アニス「わぁ、これ全部クロソフィってやつですかぁ?」
女性「うん。頑張って育てたんだ」
アニス「でも、どうして一人で?」
女性「私の名前だから……」
アニス「名前?」
女性「遠い昔に大切な人がつけてくれたの、ソフィって」
アニス「へえ、ロマンチックですねぇ」
女性「うん。じゃあ、ゆっくりしていってね?」
アニス「はーい。ほらほら、起きてよぉ、フローリア……ねえ、フローリアン、起きっててば……」
フローリアン「………」
アニス「……・フローリアン、ほら、景色が全部花だよ?」
アニス「フローリアン、綺麗だね?」
66:
:2011/06/27(月) 15:41:06.10 ID:
ルーク「おーい、アニ……」
ガイ「ルーク……よせ」
ルーク「え?」
ジェイド「予定よりも早かったですね」
ナタリア「……」
ティア「アニス……」
アニス「ほらぁ……おきてよぉ……」
アニス「こんなにぃ……きれい、なのにぃ……」
アニス「……なんでよ……なんで……おきない……のぉ……」
フローリアン「……アニス?」
アニス「……!?フローリアン!?」
フローリアン「どうやら、少しアニスを悲しませてしまったようですね?」
アニス「……え?」
67:
:2011/06/27(月) 15:45:06.90 ID:
フローリアン「いつもいつも、僕のために本当にありがとう……」
アニス「イ、オンさま……?」
フローリアン「フローリアンが僕の音素を引きよせたみたいです。彼が最後に時間をくれました」
アニス「イオン様!!わたし……わたしぃ……」
フローリアン「泣かないで、アニス。アニスにはずっと笑っていてほしいから。でも、それも無責任ですね」
アニス「いおん、さまぁ……」
フローリアン「アニス、僕のことを忘れてなんていいません。でも、少しだけ前を見てください」
アニス「……あ」
ルーク「……」
ティア「……」
ジェイド「……」
ガイ「……」
ナタリア「……」
ミュウ「みゅう……」
68:
:2011/06/27(月) 15:47:53.50 ID:
フローリアン「ああして、貴方を見守り支えてくれる仲間がいます。だから、一人だなんて思わないでください。そして、泣きたいときは彼らに涙を預ければいいんです」
アニス「イオンさま……」
フローリアン「アニス、きっとあなたならやれます。すいません、こんなことしか言えなくて」
アニス「ううん……いいです……いいですよぉ……」
フローリアン「うん……やっぱり……アニスには……え、が…お………に…あ……い…ます……」
アニス「……イオンさま?……イオンさまぁぁぁぁ!!」
69:
:2011/06/27(月) 15:51:13.82 ID:
翌日 フローリアンの墓
ジェイド「アニス、もういいのですか?」
アニス「はい!もう大丈夫ですよぉ!さっさとヴァンのやろうをぶったおしにいきましょう!!」
ガイ「……そうか」
ティア「じゃあ、出発の準備をしてくるわ」
ナタリア「私も手伝いますわ」
ルーク「アニス……」
アニス「もう!何しけた顔してんの、ルーク!!元気ださなきゃ!!」
ルーク「ああ、そうだな」
アニス「うん!」
アニス「……イオン様……この硬貨は置いておきます……さよなら……」
END
72:
:2011/06/27(月) 15:55:22.83 ID:
>>1乙
70:
:2011/06/27(月) 15:51:40.35 ID:
実はドッキリなんだろ?
おい
引用元:- http://hibari.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1309144172/
スポンサードリンク
スポンサードリンク
- 「SS」の最新記事
-